抗ガン剤治療という決断
当初から抗ガン剤だけはやりたくないと、ずっと拒否し続けていました。
抗ガン剤=毒というイメージ、世間に流れる悪い印象。抗ガン剤に殺されるという言葉もよく聞きました。毒を持って毒を制すわけだから、普通の生活が送れなくなるものだという固定概念。
しかも周囲に隠して治療している私としては、抗ガン剤治療をする=周囲に話さなければいけない、となるわけで。
とにかく誰にも知られたくなかった私は拒否し続けていたわけです。
しかし、その日は突然やってくる。
先生に言われました。
「このままだと手術をしても全摘、そして術後化学療法をしなければならない。だったらせめて術前化学療法をやって、手術の範囲を小さくする可能性を探りませんか? あなたの安全のために言っているのです。
もし決心がついたら、いつからでも始められますから。次の予約からでも。」
もう目の前が真っ白。
どのみち化学療法をやらなければいけなくなってしまった。なんでこうなったんだろう。最初に切っちゃえばよかったのかな。選択肢の中に手術もあったはずだ。
どうしようどうしよう。
もう今までみたいに生きられない。
遊びに行けない、旅行も行けない。
家族に言わなきゃ、会社に言わなきゃ、決断しなきゃ、いろいろなことが頭の中をぐるぐる回って、その日の夜は久しぶりに泣きました。